江戸のおいしいをたずねて<江戸の正月>2017年12月26日
12月9日、KCC食文化と料理の講習会は、近茶流嗣家、柳原料理教室副主宰の柳原尚之先生をお迎えし、「江戸の"おいしい"をたずねて<江戸の正月>」をテーマに、料理を紹介いただきました。
柳原先生は、近茶流宗家の柳原一成氏とともに、東京・赤坂にある柳原料理教室で、日本料理、茶懐石の研究指導に当たり、国内だけでなく海外でもグローバルに、日本の食文化を紹介する活動をされています。江戸の食文化、料理にも詳しく、江戸時代小説のテレビドラマの料理の監修などもされていました。
今回は、お正月の料理、おせちの持つ意味、縁起のお話とともに、料理をご紹介いただきました
おせちに欠かせない「三つ肴」。関東では<数の子>、<田作り>、<黒豆>です。<数の子>は子孫繁栄、<田作り>は五穀豊穣、<黒豆>は健康ではたらけるようにという願いを込めています。<数の子>と、クルミを加えてアレンジした<田作り>をご紹介。塩数の子は、塩抜き加減がポイント。塩を抜き過ぎると、苦味が立ってしまいます。<田作り>に使う「ごまめ」は、かたくちいわしを素干ししたもので、ゆでて干した「煮干し」とは別もの。「ごまめ」の証である目が白くない、光沢のある「ごまめ」を選びましょう。
<栗きんとん> くちなしの実で黄色に染めた栗とさつまいも。これらでつくる、黄金色のような艶やかな<栗きんとん>は、金銀財宝に恵まれるようにという願いを込めてつくります。
<こはだの卯の花和え> 江戸前の魚の代表格こはだの酢じめを使った一品。「卯の花」はおからのことです。こはだの酢じめを、ゆでたえびとともに、甘酢で味つけしたおからで和えました。黄色く色づけて甘酢にひたした粟を、こはだの酢じめにまぶした「こはだの粟漬け」というおせち料理もありますね。
手前左から; 数の子、田作り、栗きんとん 奥; 小肌の卯の花あえ
<ころいり> 「煮しめ」は、根菜を中心に普段の食材の料理ですが、おせちを代表する料理です。ここでは、江戸時代の文献にもある、鰻の蒲焼きを使った煮物をご紹介。鰻の蒲焼きと野菜などを炊き合わせました。鰻からもいいだしが出ます。
<七草粥> 1月7日「人日の節供」、1年の無病息災を願い、春の七草と餅を入れた粥をいただきます。春の七草は、「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな(かぶ)、すずしろ(大根)」。七草すべてを揃えなくても、「せり」、「なずな」、「すずしろ」など、手にに入りやすいもので、七草粥をつくってみてはいかがでしょう。
<ころいり>のレシピをご紹介しましょう。
材料: 鰻の蒲焼き 1/2串、 干ししいたけ 小6枚、 白こんにゃく 1/2枚、 だし 200ml、 A;{マンジョウ 本みりん 大さじ4、 砂糖 大さじ2、 キッコーマン 特選丸大豆しょうゆ 大さじ3、 マンジョウ 料理の清酒 大さじ1}、里芋 2個、 にんじん 1/2本、B;{だし 300ml、 砂糖 大さじ2と1/2、 キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて うすくち生しょうゆ 大さじ1、 キッコーマン 料理の清酒 大さじ2}、 山椒 適宜
作り方:
1. 干ししいたけは、水でもどして軸を取る。こんにゃくは、手綱切りにして、熱湯でゆでてアク抜きする。
2. 鍋にだし200mlと鰻の蒲焼きを入れ、5分煮て、干ししいたけ、こんにゃく、Aを加えて、中火で落とし蓋をし、汁がほとんどなくなるまで煮る。
3. 里芋は皮をむき、乱切り、にんじんは皮をむき、厚めの短冊切りにする。下ゆでをし、やわらかくなったら、Bで煮て味を含める。
4. 器に2.と3.を盛り込む。